大好きだったけど結婚できなかった彼へ
「結婚しました」
私はそう、彼にメッセージを送った。
ちょうど1年半前のこと。
「好きです。付き合ってください。」
クリスマスの1週間前で、イルミネーションが輝き、息を吐くと白い煙が出るような寒さの中、言われた。
言われる、と思っていた。
でも、私には別に好きな人もいた。
好きだけど、結婚を考えられない人
好きだけど、結婚を考えられる人
この二択なら当然後者を選ぶだろう。
だけど、前者の人も本当に、本当に好きだった。
この時告白された時、私に迷いはなかった。
彼と出会ったのは告白される3ヶ月前。
ちょうど長袖の羽織を着た秋の始まり。
この3ヶ月でたくさん悩んだ。迷った。
一緒にいるうちに、毎日一緒に過ごしている人よりも、月に2回ほどしか会わない人のことを考えるようになった。
どこで決断されたのかは私にもわからない。
「お前の好きなようにしたらいいよ」と、一緒に住んでいた彼は言う。
でも、私に告白してきた彼は、「一緒に選ぼう」と言う。
私は後者が良かった。一緒になんでも楽しめる人が居心地がよかった。
それでも、大好きだった。私に選択を委ねる彼。私を不器用ながらも大事にしてくれる彼。
そんな不器用な彼に私は結婚報告を送った。
結婚してから数ヶ月経った春の終わり頃だった。
このメッセージを送った瞬間に、私の中でまた1つの決断ができたようだった。
愛していたよ。ありがとう。
長袖をしまう夏に入る頃、私はこれからは1年半前に私に告白してくれた人を、夫として、愛し続けることをもう一度、決断した。
(いつも一緒いてくれて、ありがとう)
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