【漫画紹介】自分を想ってくれる人のいる幸せ
「いってきます」
「ただいま」
「おかえり」
「いただきます」
この言葉を毎日伝える相手がいる人ってどれだけいるのだろうか。
当たり前となっているかもしれない。
誰かを思いやるとは、愛するとは、こんなにも温かいものなんだなって気付かせてくれる作品。
全7巻作品で、5人兄弟と1匹の家族の日常が描かれている。
ネタバレをすると、主人公の向日葵が幼少期の頃に1話で両親が亡くなってしまう。
2話からは、その数年後から始まる。
親がいないため、金銭的に厳しい環境。
お互いがお互いを思いやるために「我慢」をしてしまう。
「みんな頑張っているから」
この兄弟の中で一番幼いのが6歳の梅太くん。
思いは伝染するとはこういうことなんだろうな、と、最終回にかけて何度感じたか。
「相手のため」が時には負担にもなり、それが相手のためではなかったりもする。
それでも、言葉で伝えることや、行動で伝えることで、本当の相思相愛になるのだ。
この漫画は主にギャグ要素あり、恋愛あり、シリアスありの、どちらかと言うと、ほのぼの漫画である。
それでも、一人一人が悩み、迷い、考え、決断し、行動する。
漫画の途中で、両親が亡くなった後のことが少しずつ描かれている。
こうやって、少しずつ形ができたんだなと知るのと同時に、こうやって家族の絆が結ばれているんだなと感じる。
読み終わった時には、この家族の親の目線で見てしまう。
私がこの作品で一番心が打たれたのは、5人で登山をした回。
菊兄ちゃんと葵が喧嘩をしたのを機に、長男の桜兄ちゃんが、みんなで登ろうと言いだして、山へ。
これは桜兄ちゃんが小さい頃お父さんに言われた事がキッカケでの提案だった。
そんな中、下山途中に遭難。
そこでのシーンがこれだ。
桜兄ちゃんは不器用で言葉は直球だけど、肝心な思いを伝えることは苦手。
本当は誰よりも一家の大黒柱として思いやっているのに、大事なことは全部自分の中で決めてしまう。
それでも、この家族の先頭をきるのはやっぱり桜兄ちゃん。
そんな桜兄ちゃんの気持ちを感じ、伝え、家族を見守る菊兄ちゃん。
家族の中でも一番冷静に家計を管理しているのが葵くん。「僕がしっかりしなきゃ」と家族を想っての厳しい愛情。
一番下なのに、家族の思いやりをしっかりと受け止め、癒しを与えてくれる梅太くん。
この子が笑顔でいてくれるから、みんなが笑顔になる。
この子の笑顔を守りたくて。
そして主人公の向日葵ちゃん。
家事は全て向日葵ちゃんがやっていて、この子がこの花寺家のお母さん的ポジション。
それぞれ個性があり、ストーリーがあり、ところどころ、ああ兄弟だなあと思うような似てる要素もあって、どの話も面白い。
個人的にはクラスメイトのテッちゃんが好き。
きっと女子はテッちゃんを好きにならざるを得ないと思う。
この男の子も、また別の形の愛情を持っている。
押し付けるわけでもなく、見守る、支える、好きだから笑ってほしい。
もう一度言う。イチオシはテッちゃん。
私はこの作品をライン漫画で知り、全て無料で見てきたけれど、クライマックスにつれて、これは買うべきだと思った。そして買った。
忘れたくない、伝えたい、そんな作品。
「ただいま」と言う人がいる、「おかえり」と言う人がいる。
「いただきます」と言う人がいる。
ご飯を誰かと食べに行った時、是非言ってほしい。
誰かと暮らしていたら是非言ってあげてほしい。
誰かを思いやる事と、自分を想ってくれる人がいることの幸せに、耳を澄ませてみてください。
それを感じる事が出来たら、それたけで幸せだ。